実は逆効果!?重曹で歯の黄ばみは本当に落とせる?
重曹で歯を磨くと歯が白くなるという噂を聞いたことがありますか?
家の掃除や料理まで、さまざまな効果があると言われている重曹。はたして歯の黄ばみも落とせるのでしょうか。
歯の黄ばみが気になる人にとって、身近にある重曹で歯が白くなるのなら、とても良いですよね(^^)
じつは重曹で歯を磨くと、表面の汚れはきれいに落とせても、かえって黄ばみを引き起こす原因となることもあるのです。今回は、重曹の安全性や重曹歯磨きのリスク、歯の黄ばみの落とし方について詳しく紹介します。
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歯の黄ばみの主な原因
ふと鏡を見たときに、「昔より歯が黄ばんでいるかも…。」と感じたことはありませんか?
歯の黄ばみの原因は何なのでしょうか。
歯の黄ばみの落とし方を見ていく前に、まずは歯の黄ばみの原因を正しく理解しておきましょう。
歯の外側からの原因
食べ物や飲み物、タバコのヤニなどが歯の表面に付着することで、歯が黄ばんでいきます。
「ステイン」という言葉を聞いたことはありませんか?
ステインとは歯の着色汚れのことを言い、食べ物や飲み物、タバコの中の成分が、歯を覆っているタンパク質と化学反応を起こすことで、色素沈着に繋がります。
コーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、赤ワイン
→着色を起こしやすい成分(カフェイン、タンニンなど)が入っている
チョコレート
→カカオポリフェノールが汚れを付着させる
カレー
→ターメリックは天然の着色料として知られ、歯の黄ばみの元になる
タバコ
→ヤニが直接、歯の表面のタンパク質に沈着する
その結果、汚れが残ったままになるので、歯が着色しやすくなってしまいます。
また、歯石の付着を放置することも歯の黄ばみの原因です。
歯磨きで磨き残した歯垢(プラーク)が固まると、歯石になります。一度できた歯石は歯磨きでは落とせないので、歯科医院で除去してもらいましょう。
歯の内側からの原因
肌の色と同じように、もともとの歯の色も人によって違います。遺伝など、生まれながらに歯が黄色い人もいます。
また、歯の内部の象牙質はもともと黄色で、加齢とともにその色が濃くなっていきます。
さらに、歯の表面のツルツルした部分であるエナメル質も、日々の歯磨きや歯ぎしりなどで薄くなっていくため、内部の象牙質の黄色が透け、黄ばんで見えてしまいます。
また、歯の形成期(0~12歳)に、かつてマイコプラズマ肺炎の特効薬として処方されていたテトラサイクリン系の抗生物質を服用したことが原因で、歯がグレーに変色している場合もあります。
歯の黄ばみの原因について、詳しく知りたい方はコチラへ
重曹歯磨きとは?
重曹歯磨きとは、その名前のとおり、重曹で歯を磨くこと。
重曹歯磨きをすると黄ばみが落ちて白い歯になるという噂があるようです。はたして、本当に重曹で歯は白くなるのでしょうか?
そもそも重曹は掃除やお料理など、さまざまな場面で活躍するという情報は知っていても、重曹の正体や作用は知らないという方も多いと思います。
早速、重曹の正体と、重曹で歯の黄ばみを落とす方法を見ていきましょう(^^)
そもそも重曹ってなに?
重曹は化学名を炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)といい、ナトリウムを含む塩(塩化ナトリウム)の仲間です。天然の成分なので、環境にもほとんどダメージがありません。
重曹は別名、重炭酸ソーダとも呼ばれます。
ソーダは昔、漢字で「曹達」という当て字を使っており、重炭酸曹達を略して重曹といいます。
1.中和・分解・消臭作用
重曹は弱アルカリ性。
・酸性の汚れ(皮脂や油汚れなど)に重曹をかけると中和・分解し汚れが落ちやすくなる
・生ゴミの腐敗臭などの酸性の悪臭を中和させ消臭する
2.研磨作用
・重曹の粒子は細かいので、ソフトな研磨剤として使える
3.発泡作用
重曹は熱が加わるとシュワシュワと炭酸ガスが発生する
・食用として:重曹はふくらし粉とも言われ、どら焼きなどの生地を膨らます際に使われる(ちなみにベーキングパウダーの主成分は重曹)
・お掃除には:炭酸ガスが汚れを浮かし、鍋の焦げ落としに効果抜群!
重曹の作用には、この他にも、吸湿作用や、水を柔らかくする軟水化作用もあります。
さまざまな場面で活躍する重曹は、薬用、食用、工業用(洗剤など)などの種類があります。
重曹で歯を磨く場合は薬用か食用の重曹が選ばれています。
薬用 | 医薬品医療機器等法を適用 | 胃腸薬、製剤の原料、薬用入浴剤 など |
食用 | 食品衛生法を適用 | ベーキングパウダー、発砲飲料 など |
工業用 (掃除用) |
適用法令はなし | 消化剤、洗剤 など |
重曹で歯を磨く方法
重曹は主に洗浄・研磨・発泡の3つの作用があることから、市販の歯磨き粉にも使われてきました。重曹のみで歯磨きをする人はどのような方法で歯を磨いているのでしょうか。重曹歯磨きには、以下の3つの方法があります。
① 重曹を直接歯ブラシにつけて磨く
② 重曹と適量の水を混ぜ合わせて磨く
③ 重曹・ハッカ油・グリセリンを混ぜてペースト状にして磨く
【注意】
歯磨きに使う重曹は食用か薬用を使用します。
何も書かれていない場合は工業用の可能性がありますので、パッケージをしっかりと確認しましょう。
重曹で歯の黄ばみが落ちるのはクリーニング効果によるもの
なぜ、「重曹で歯を磨くと歯の黄ばみが落ちる」と言われているのでしょうか?それは、重曹の洗浄作用にあるようです。
重曹には汚れの分解作用や研磨作用があります。
重曹で歯を磨くと、歯の表面の着色汚れが中和・分解され、浮き上がってきます。
そして重曹の細かな微粒子が研磨剤の働きをするため、削られるように汚れが落とされるのです。
汚れが落ちたことで歯が白くなったように見えるかもしれませんが、そもそも重曹の研磨作用には、歯を白くするホワイトニング効果はありません。
歯医者で行うホワイトニングは、エナメル質の内部まで沈着した着色を、過酸化水素を主成分とする薬品を使って漂白しています。
重曹にはこのような漂白の効果はなく、表面の汚れを落としているにすぎません。
このようなことから、重曹歯磨きには高いクリーニング効果はあってもホワイトニングには効果はないといえます。しかも重曹歯磨きはクリーニング効果が高いゆえに、数多くのデメリットもあるのです。次章で詳しく説明します。
重曹歯磨きのデメリット
重曹で歯磨きをする際は、以下で紹介するデメリットをしっかり理解してから行いましょう。
研磨作用によって歯が削れる
重曹の粒子はとても細かく、比較的柔らかいため、磨いても表面を傷つけにくい研磨剤として、台所のお掃除などで重宝されています。
しかし、研磨剤としては傷つけにくいとはいえ、歯の表面のエナメル質を傷付けるには十分な硬さがあるので注意が必要です。
黄ばみの原因になる
研磨作用によってエナメル質が傷つき、薄くなると、その内部の象牙質の色が目立つようになってきます。
象牙質は個人差はありますが、黄色っぽい色をしているため、エナメル質が透けて、歯が黄ばんで見えてしまうことになります。
知覚過敏の原因になる
歯のエナメル層が薄くなると、象牙質の内側の歯の神経に刺激が伝わりやすくなり、冷たいものが歯にしみるという知覚過敏を引き起こす原因になります。
塩分の摂りすぎ
重曹の化学名は、炭酸水素ナトリウムで、ナトリウムを含む塩の仲間です。塩の仲間である以上、重曹には塩分が含まれています。
重曹1g当たりの塩分の量は、0.7g。
日本人の1日の塩分摂取量は、厚生労働省によると、18歳以上の男性は8.0g未満、18歳以上の女性は7.0g未満にするとよいとされています。
しかし、実際の日本人の1日の平均塩分摂取量は、男性が11g、女性が9.2gなので、できる限り塩分の摂取は控えたいところ。
重曹1gあたり0.7gという塩分量は、かなり多いので、重曹歯磨きのしすぎには気を付けましょう。
皮膚や粘膜へのダメージ
重曹には油脂やタンパク質を分解する加水分解作用があります。
この分解作用により、汚れは落ちやすくなるのですが、重曹歯磨きをやりすぎると、口の中のタンパク質や粘膜を溶かしてしまう可能性もあります。
歯石が付着する原因になる
重曹はアルカリ性なので、重曹歯磨きをすると口の中はアルカリ性に傾きます。
口の中がアルカリ性に傾くと歯石がつきやすい状態になると言われています。
歯の黄ばみ解消以外の重曹の効果はどう?
重曹歯磨き以外にも、「重曹うがいがいいらしい!」「重曹は口臭予防にも効果がある」という噂を聞いたことはありませんか?
これらの噂は実際にどうなのかを紹介します(^^)
重曹うがいは効果なし!?
重曹うがいは、虫歯予防に効果があるという噂があります。
本当に虫歯予防に効果があるのか見ていく前に、虫歯のメカニズムを簡単に理解しておきましょう。
① 歯垢(プラーク)に虫歯菌(ミュータンス菌など)が住みつく
② 虫歯菌は、糖を分解して酸を作り出す
③ 酸が歯の表面を溶かし、虫歯になる
しかし、歯の表面を溶かしてしまう酸を一時的に中和させることができても、虫歯のメカニズムを理解すれば、虫歯菌が再び酸を作り出してしまうことがわかりますね。
よって、重曹うがいは一時的に口腔内の酸を中和させるとはいえ、虫歯を予防する効果があるとはいえないでしょう。
虫歯予防には、重曹うがいよりも、歯垢をできるだけ落としきるケアを習慣化させましょう♪
口臭予防の効果は?
重曹には消臭作用もありましたね。重曹はアルカリ性のため、酸性の臭いに対して中和・消臭する働きがあります。
口臭の主な原因物質はVSC(揮発性硫黄化合物)と言われています。
口の中にあるVSCは以下の3つです。
硫化水素 | 卵が腐ったような臭い |
ジメチルサルファイド | ドブのような臭い |
メチルメルカプタン | 野菜(たまねぎ)の腐ったような臭い |
これら3つのVSCはすべて酸性なので、アルカリ性の重曹で臭いを中和し、一時的に臭いを抑えるという効果は期待できます。
しかし、あくまで一時的な効果のため、時間が経つにつれて口臭が再び発生することでしょう。
このように、重曹は虫歯や口臭の原因物質を一時的に抑えることはできても、根本的な解決にはならないのです。
歯の黄ばみの落としかた
重曹歯磨きは、高い洗浄作用によって歯の汚れをしっかり落とせますが、デメリットも多いことが分かりましたね。
そこで、デメリットが少なく、歯の黄ばみ落とすのに効果的な3つの方法を紹介します。
歯医者さんでのホワイトニング
即効性が高く、効果が高いのは歯医者さんでのホワイトニング治療です。
過酸化水素等の高濃度漂白剤の使用が認可されているので、歯のエナメル質内部の着色も無色化していきます。
効果が高い分、費用はかかります。
ホワイトニング(歯科医院で施術するオフィスホワイトニング)の費用
一般歯科 | ホワイトニング専門歯科 |
3万円~5万円程度/1回 | 5,000円~3万円程度/1回 |
※1回で半年程度持続すると言われている
※その他診察料、歯石がある場合クリーニング費用(ホワイトニング目的の場合は自費診療となる場合が多い)がかかるところが多い
ホワイトニング効果のある歯磨き粉を使う
歯の黄ばみや着色汚れは、ホワイトニング効果のある歯磨き粉でセルフケアをしていくこともできます。
炭酸カルシウム/リン酸水素カルシウム、メタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、DLリンゴ酸、ポリアスパラギン酸(PAA)、パパイン
また、ブラッシングなどで傷ついた歯のエナメル質の表面を修復(歯の再石灰化)できると、ステインがつきにくい健康な歯になります。
薬用ハイドロキシアパタイト、フッ素
汚れや黄ばみを落とす成分や、歯の再石灰化を促す成分が含まれている歯磨き粉を使い、白い歯を目指しましょう(^^)
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歯の黄ばみを予防する方法
日頃のちょっとした心がけで歯の黄ばみは予防できます。
歯の黄ばみの予防法を5つ紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
食後すぐに歯磨きをする
基本となるのは食後の歯磨き。
飲食物の着色成分はできるだけ早めに落とすことが大切です。
もし、着色しやすい食べ物を食べた後、歯磨きできない状況であれば、口をゆすぐだけでも効果的です。
唾液の分泌を増やす
唾液が少なくなると、口の中が乾燥し、ステインが落ちにくい状態になります。
ガムを噛んだり、舌を回したりして、唾液の分泌を増やしましょう。
鼻呼吸を意識する
口呼吸をすると口の中が乾燥し、ステインが落ちにくい状態を作ります。また口呼吸は、口臭の原因や顔のたるみの原因など、悪影響がたくさん!日頃から口呼吸をしてしまう人は鼻呼吸を意識しましょう。
研磨剤入りの歯磨き粉は使いすぎない
薬局などで売っている、ほとんどの市販の歯磨き粉に研磨剤が入っています。
リン酸水素カルシウム、水酸化アルミニウム、無水ケイ酸、炭酸カルシウムなど
しかし、毎回の歯磨きで研磨剤入りの歯磨き粉を使うと、エナメル質の表面に細かい傷がつきます。
すると、その傷の中に汚れが入り込み、さらに黄ばんで見えてしまうことも…。
さらには研磨剤を使い続けてエナメル質が薄くなると、内部の象牙質が透けてくることもあり、歯の黄ばみにつながります。
研磨剤入りの歯磨き粉を使う場合は、週に数回にとどめておきましょう。
強い力で磨かない
研磨剤が入っていない歯磨き粉で磨いても、強い力で磨いてしまっては意味がありません。適度な力で磨きましょう。
実は逆効果!?重曹で歯の黄ばみは本当に落とせる?まとめ
重曹にはホワイトニング効果はないものの、研磨作用によって、歯の表面の汚れはしっかりと落とせることが分かりました。
しかし、歯磨き粉として使うには刺激が強く、歯を傷つけてしまったり、逆に歯の黄ばみを目立たせる恐れもあります。
歯の黄ばみを落とすには、歯医者さんでのホワイトニングが一番即効性がありますが、ホワイトニング効果のある歯磨き粉を使い、セルフケアを行うのも良いですね。
丁寧に根気強くケアを続けて、輝く白い歯を目指しましょう!
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